インドネシアと日本の看護教育と看護の違いについて 調査報告を中心に開催致しました
1月19日(火)、JAMNAでは、日本人のジャカルタ駐在者を対象に「インドネシアと日本の看護教育と看護の違いについて」の意見交換会を行なった。23名の参加(内、元看護師12名、その他のコメディカル3名)があり、さらに当日都合はつかないものの資料をほしいとの申し出を元看護師7名から頂いた。
これまでの調査結果や、病院での体験、EPA再受験者の支援を通じて分かったことなど、日本の看護師や看護学生との相違について具体的に報告した。主なポイントは以下の通りであった。
- インドネシアの看護教育では、科目や看護技術項目などを見る限りでは、それほど日本の教育との違いはない。
- 日本の看護で大切にされる生活援助について、看護師は、看護として大切な援助であると認識しているが、実際の病院で行っているのは家族・親族であり、実践の経験はあまりしていない。
- 入浴習慣や、食事の違いなどがあるため、インドネシア人看護師が日本で看護をするときには、生活の違いを踏まえたきめ細かい指導が必要になる。
- インドネシア人看護師は、患者の立場で患者の思いを感じとり、その意思を大切にかかわることや、患者の前向きな思いをひきだし、患者の力を使うことなどについての意識が低い傾向があった。しかし、これは研修などを通じて、日本の看護師の判断を伝えていくと、大事なことであると意識するように変化していた。
- 日本で行われているチーム医療について、それぞれの専門職がその専門性を発揮していくという意識が弱く、リーダーは医師であり、その指示に従うという判断をする傾向にあった。
- 日本では、患者の回復を促すために、患者の思いは大切にしながら、早期離床や、リハビリを進めていくが、インドネシアでは、患者が疲れているから、患者が嫌がるからという理由で、休ませるという判断をする傾向があった。
参加者のなかには、EPAで日本に行っているインドネシア人看護師たちの状況について、ほとんど知らない方も多かった。せっかく日本で技術を学ぼうと高い意識を持っていても、看護助手の仕事をしながら、日本語や国家試験の勉強をすることになってしまい、日本の本来の看護(患者の必要性をとらえて、患者の力を引き出すように関わること)の仕事や、「患者の立場に立つ」ということを学ぶチャンスがないまま帰国している現状について、とても残念だという反応があった。
さらに、両国の看護について理解し、日本に帰ってからもまたインドネシア人の看護師と関わるチャンスを持ちたいと言ってくれた方も多かった。また、インドネシア在住中にも、看護師たちの学習の援助のボランティアをしたいという希望を申し出てくれた方もいた。