第38回日本看護科学学会学術集会 発表のご報告

 愛媛県松山市のひめぎんホールで12月15日~16日に開催された第38回日本看護科学学会学術集会において、ポスター発表を行いました。
 「インドネシアに帰国したEPA※1看護師候補者の看護の役割意識の変化‐来日経験のない看護師の意識との比較-」と題し、順天堂大学医療看護学部の野崎真奈美先生、中部大学生命健康科学部保健看護学科の新美純子先生との共同研究の内容となります。

20181227-1.jpg

 EPA※1制度により日本の病院や施設で働いた3~4年間の経験が、海外の看護師たちの意識に変化をもたらしているのかどうかについては明らかになっておりません。指導を担当された方から、「頑張って指導したけれど、何か意義があったのだろうか」という疑問の声を聞くことも多いです。しかしインドネシアにおいて、日本の医療・福祉の場の経験者と未経験者の看護師では、看護の役割や専門職として取り組む姿勢に違いがあることが分かってきたので、その違いを明らかにしました。
 ポスター発表の会場には、EPA※1看護師に関する研究をしている方やインドネシアの大学との学術協定を結んでいる大学の方など、テーマにつながりのある人が集まり、情報交換の場となりました。
 今後も、インドネシア現地にて看護の教育に関わっている利点を生かし、情報発信をしていきたいと思います。

筆者:小笠原広実※2

20181227-2.jpg

※1 EPA
 「経済連携協定」(EPA:Economic Partnership Agreement)は、WTO(世界貿易機関)を中心とした 多国間の貿易自由化を補完するため、国や地域を限定して、関税等の貿易障壁を撤廃することにより、 モノ・ヒト・カネ・サービスの移動を促進させようとするもの。 この協定に伴い、日本とインドネシア、フィリピン及びベトナムとの間で締結された日尼経済連携協定(日尼EPA)、日比経済連携協定(日比EPA)及び日越交換公文(日越EPA)に基づくインドネシア人・フィリピン人・ベトナム人看護師・介護福祉士候補者の受入れが開始し、インドネシアからの受入れは平成20年度より行っている。

※2 小笠原広実
 当法人の研究員で、インドネシアのジャカルタにてEPA看護師の帰国者へ看護師国家試験の再受験支援(学習会開催・セミナー開催等)をしている